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「だったら、別に沙夜ちゃんを匿う必要が無い。なんて、そんな下らない事考えてないよね?」 僕は閉口する。 ずばりと言い当てられてしまった。 僕の沈黙に、深くため息をついてから伯母さんは言う。 「あのね、満月くん程の『闇憑き』が、“未だに沙夜ちゃんを連れて戻って来ない”って言うのが問題なの。“魔人”と呼ばれ恐れられた、すれ違うだけで人を殺す、“闇憑きの中で最も夜に近い男”である彼が、だよ」 あの満月を随分と過大評価する。 確かに、彼の能力“凶悪なる真実(マッドサイエンス)”は恐ろしい能力だった。 物質創造能力。彼自身、神に近いとか等しいとか嘯いていた能力。 「君は随分彼を過小評価しているみたいだけど、彼はこの世に存在しない物質だって想像したら作る事の出来る力の持ち主なんだよ。例えば、吸い込んだら絶命する気体だって簡単に作れる。そんな能力を殺人鬼である彼が保有しているなんて悪夢としか言いようがない。君が彼を倒したのは偶然と言って良い」 殺されなくて本当に良かったわ、と。 薄く微笑んで、僕を見つめる。
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