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「自惚れも甚だしい勘違いだね。君は無敵でも無ければ、最強でも無い。君は負けなかったかも知れない。でも、全力の満月と戦っていたら、確実にどちらかは死んでいた筈だよ? そして、もし満月くんを殺してしまったら、君はどうする?」 僕が……満月を殺す……。 もしかしたら、そんな事になっていたかも知れない。 あれは、殺し合いだった。満月が“手加減”していても充分に。 もし、満月が沙夜を巻き込む心配が無く全力だったら、僕は彼を殺していただろうか? 「満月くんを、人を殺してしまって、君は“負けてない”と言える? 言えないでしょう? 言える筈が無いでしょう? 満月くんを殺す、その結果は考えるまでも無く、“負け”でしょう?」 お願いだから肯定してほしい。と、目で訴えかけられる。 もちろん僕自身、殺人を犯してしまったなら“負け”だと思う。 そうなると、前回の満月との戦いの結果の見え方が変わってくる。 僕は、“勝った”と言えるのだろうか?
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