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にまりと顔をいやらしく歪めた伯母さんは、一旦腰を落ち着けて、自分の顔の前で人差し指をびしっと立てる。 「一つ目、先ずは五十嵐くんに会いに行きなさい。既に『闇憑き衆』を“嵐”と“虎”は警戒して動き出している。でも、君は先ず五十嵐くんに会って、情報を訊く事」 びしっと、今度は中指を立てる。 「二つ目、これは言うまでも無い事なんだとは思うけど、君にとって言われるまでも無い事なんだけど、君にとって“大切な人”は誰かと言う事を“忘れない事”。もちろん、友達や家族は大切だし、尊重しなければならないけど。今、君が一番大切にすべきは誰か、言う必要は無いよね? その人を守る事を何より優先しなさい。その為に何を犠牲にしても躊躇っちゃ駄目」 そして、最後に――と、薬指を立てる。 「三つ目、自分一人で全部責任を抱える必要な無いよ。頼って良い。君は一人じゃない。“私達”は君と同じ様に、沙夜ちゃんを大切に思っているし、君が沙夜ちゃんを思うように、君の事を大切に思っているんだから」 二つ目と三つ目はやや重複していたけれど、僕はそこに込められた思いを蔑ろにするつもりは無い。 大切な事だから、二回言うのだ。
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