009

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その時、視界に不自然なものを見つける。 それは、人、なのか? それすらも分からない不思議な物体だった。 きょろきょろと、辺りを窺っているような、何か探し物でもしているような、それ。 まるで、格闘ゲームのパワーキャラのようなフォルムのそれ。 上半身裸で、筋肉に筋肉を纏ったような巨漢のそれ。 腕が僕のウエストより太く、胸筋や腹筋の一つ一つがまるで岩石のような身体つきの、それ。 針金のような髪の毛が纏まる事無く、跳ね放題になっているそれ。 それの腰には、鉈の様な、斧の様な、鎌の様な、巨大な刃物が二つ。 その刃物の柄頭同士が、長い鎖で繋がっている。 人物、と言って良いのか分からないのだけど、そんな物体(てか、危険な物体)が真っ昼間の町中を闊歩していた。 僕との距離はおそらく三メートルも無いような、そんな至近距離。 目が合って、見詰め合ってしまう。
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