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やばい、何と言うか関わっちゃ駄目な存在だ、これ。 しかし、僕の緊急回避を先読みしたように、不思議生命体に話しかけられてしまった。 「そこの少年、訊きたイ事があル」 と言って、不思議生命体はぱっつんぱっつんのズボンのポケットから、紙切れを取り出した。 それは二枚の写真、だった。そこに写っていたのは―― 「この二人に見覚えは無イか?」 沙夜と満月、だった。 何てタイミングだ、どんぴしゃ過ぎる。 間違いなく、この人『闇憑き衆』の一人じゃないか! 「あらら~? ゆとりくんやないの」 混乱と混線で混濁している僕の思考をぶった切って、少し間延びした声が響いた。 道路の向こう側から手を振りながら、こちらにやってくる二人組。 男子生徒の制服を着ている『小鹿山 実』、浴衣を着て、日傘を差している『志高 湖』。 二人は、今下校中なのだろうか。
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