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「なんやの? このポチョムキンみたいなん、ゆとりくんの知り合いなん?」 「小鹿ちゃん、むしろドラマツルギーみたいな、が正しい比喩だと思うわ。本で読んだ事があるもの」 「いや、えっと……」 初対面で問答無用に失礼な事を言う二人だった。 そんな二人に僕が呆れていると、僕の目の前の巨体が動いた。 腰の巨大な刃物を、二刀一対の刃物の一つを抜き―― 志高さんに投げ付けた。 くるくると回転し、それは志高さんの上半身を吹き飛ばす。 ばしゃっと、志高さんの上半身が爆ぜ、焼け付いたアスファルトが水浸しになる。 「ム、“ハリツキ”め。しくじったのカ、結界にこんなにも侵入を許すとハ」 不思議生命体はじゃらじゃらと鎖を鳴らし、投げ付けた刃物を回収しながら、そんな事を言った。
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