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「何晒しとんのじゃあ! ワレェっ!」 飛び蹴りだった。 小鹿さんが飛び蹴りを放っていた。 不思議物体の顔面に。 とは言え、不思議物体もその体躯に見合うタフさで、飛び蹴りを受け切る。微動だにしない。 そんな不思議物体に追撃をかける小鹿さん。 顎先にオーバーハンド気味の右拳を一つ、次いで左上段回し蹴りを顔面へ。 容赦の無い連撃が続く。“Eランカー”らしくない武闘派な小鹿さんだった。 僕は驚いた。驚愕というより、仰天。 小鹿さんの行動にでは無い。確かに初対面の人物? に対して、迷わずに攻撃を出来る豪胆さには驚いたけれど。 小鹿さんが怒った、という事実に僕は驚いた。 怒った、なんてものじゃない。これは――激怒している。 以前、沙夜が志高さんの頭を吹き飛ばした時には、へらへらと笑っていた彼女が。 上半身が吹き飛んだなんて、そんな事は志高さんのEには“その程度”だろう。 そんな事、どうって事無い筈なのに。 「――なっ!?」 “水溜り”が無くなっている!?
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