41人が本棚に入れています
本棚に追加
「何晒しとんのじゃあ! ワレェっ!」
飛び蹴りだった。
小鹿さんが飛び蹴りを放っていた。
不思議物体の顔面に。
とは言え、不思議物体もその体躯に見合うタフさで、飛び蹴りを受け切る。微動だにしない。
そんな不思議物体に追撃をかける小鹿さん。
顎先にオーバーハンド気味の右拳を一つ、次いで左上段回し蹴りを顔面へ。
容赦の無い連撃が続く。“Eランカー”らしくない武闘派な小鹿さんだった。
僕は驚いた。驚愕というより、仰天。
小鹿さんの行動にでは無い。確かに初対面の人物? に対して、迷わずに攻撃を出来る豪胆さには驚いたけれど。
小鹿さんが怒った、という事実に僕は驚いた。
怒った、なんてものじゃない。これは――激怒している。
以前、沙夜が志高さんの頭を吹き飛ばした時には、へらへらと笑っていた彼女が。
上半身が吹き飛んだなんて、そんな事は志高さんのEには“その程度”だろう。
そんな事、どうって事無い筈なのに。
「――なっ!?」
“水溜り”が無くなっている!?
最初のコメントを投稿しよう!