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すると、幼女(志高さん?)はにこやかに笑って。 「もちろん、大丈夫ではないわ。だーりん」 はにかみながら言われても、挨拶に困る。 それにしても、やっぱり大丈夫では無かった。 「かつて、その湖底に龍が眠るという伝説のある湖も、干上がった事があるわ。私とて無尽蔵の水量を誇る訳では無いの。こんな今日みたいな晴れの日は苦手ね」 なんて、お気楽に話す志高さん。 緊張感の欠片も無い。 というか、だーりんて言うな。 「あ、小鹿ちゃん」 「え?」 不思議生命体に殴られたらしく、小鹿さんが吹き飛んでブロック塀に激突して崩れ落ちた。 「全ク、面倒な事ダ」 不思議生命体が巨大な刃物を振り上げて――止まった。 倒れている小鹿さんの前に、両手を広げて立ちはだかった志高さんがその視線で止めたのだろう。 え? 僕? 見てただけ。格好悪いなぁ。
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