009

27/35
前へ
/300ページ
次へ
「…………」 「五十嵐?」 五十嵐が怖い顔をして僕を睨む。 女の子二人に助けられた僕を非難しているのだろうか。まぁ、確かに情けない限りだったけど。 でも、五十嵐が引っかかったのはそこじゃなかったらしい。 「ゆとり、この惨状を見て――お前は平気なのか?」 平気か? なんて、平気な筈ないじゃないか。 何を言っているんだ? 五十嵐は。 「もちろん平気じゃないよ、五十嵐。うちの前がこんなに汚れちゃったら、流石に不愉快だよ。早く片付けないと、結構血液って綺麗にならないんじゃないの?」 「……お前、それ正気で言ってるのか?」 五十嵐? すごく怖いけど、どうしたのだろう? 「い、五十嵐? どうしたの? 何か怖いけど……」 「お前を俺は過小評価……いや、過大評価していたらしい。すまん、俺はお前に協力するつもりで来たが――俺はお前に協力出来ない」 すまない、と頭を下げる。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加