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「え? 待って、待ってよ。五十嵐、どうして?」
「“どうして”だと?」
五十嵐が怖い、そんなに睨まないでよ。
「“どうして”? 分らないか? 分らないのか? なら、もう一度だけ訊く。お前は――」
“あれ”を見てどう思う?
あの不思議生命体の残骸を指差して、苦々しい表情で僕に訊く。
僕は――
「汚い、とか。後片付けが大変? とかかな?」
正直、五十嵐が求めている答えが分からない。
だから、僕は素直に思っている事を口にした。
でも、五十嵐はまるでこの世の終わりみたいな顔をする。
まるで信じていた親友に裏切られたような、そんなむしろ泣き出しそうな顔で。
「俺は、お前の事気に入ってた。でも、今はただただ、恐ろしい。俺はお前が怖い。あんな死体を見て、俺ですら吐き気を催す程に凄惨な死体を見て、平然としているお前が、俺は正気とは思えない。俺は……お前に“闇憑き”になってほしくなかったし、今だってなって欲しくない。だから――」
俺はお前の邪魔をする。
と、五十嵐は僕に背を向けた。
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