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「もちろんですとも。わたくし共の目的はそれ以外にありません。この町において、“事を起こそう”などと言うつもりは全く御座いません。そこまでわたくし共は厚顔無恥な烏合の衆ではありませんので」 「信用出来ないな」 吐き捨てるように、五十嵐は言った。 「現に先月、『闇憑き衆』の一人である満月は大立ち回りを“やらかしている”」 「ほぉ。ではやはり、満月さんはこの町に来たのですね」 「あぁ、現在“嵐”が満月を拘束中だ」 「なるほど、では“嵐”とわたくし共には交渉の余地があるのですね?」 「無論だ。場所と時間はこちらが指定する。さっさと連れて帰れ」 「分かりました。では、この場はこれにてわたくし共は退きましょう。疼月さん、咬月さん、行きますよ」 そこまで言うと、『闇憑き衆』の三人はあっさりと何処かへと姿を消した。 忍者みたいというよりは、煙のように消えた。
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