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そこはビルのようだったけれど、ロビーやフロントを見るにどうやらホテルだったらしく、あまりこういう建物に馴染みの無い僕はきょろきょろと辺りを見回してしまった。 高級そうにも見えるけれど、普通のビジネスホテルでさえ出入りした事の無い僕には判断が出来ない。 誰も座っていないソファーも、花の活けている花瓶も、床に敷かれている絨毯も、何となくお高くとまっているように見えなくも無い。 そんな僕を、受付のお姉さんと一言二言かわした五十嵐は顎をしゃくって呼ぶ。 「こっちだ。ここの三階に用がある」 そのまま歩き出し、エレベーターに向かう五十嵐。 説明が全く無いんだけれど……真理伯母さんなら、もっと色々訊かなくても説明してくれると思うのに。 そんな文句を聞いてくれそうにない五十嵐だったので、僕は仕方なくエレベーターに乗り込み目的の三階まで上る。
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