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僕は五十嵐ほどにこの“瘴気”の影響は直接的には受けないけれど、でも、それでも、僕もここから立ち去りたい。
“この感じは以前経験した事がある”
この部屋の中にいる人物に、僕はおおよそ見当がついた。
“だからこそ”、僕はこの部屋に入りたくないし、この部屋の中に居るであろう“あいつ”に会いたくない。
「帰ろうか」
「……駄目だ」
逡巡があったけれど、否定されてしまった。
部屋の前で何時までもこうして二人で突っ立っていたとしても、事態が好転する筈もなく――部屋に入ったとしても好転しない気はしていたけれど、しぶしぶ嫌々ながら僕は部屋に足を踏み入れた。
足が重い、ねっとりと絡みつくような空気が足を重くする。
部屋の中、備え付けの椅子に座って寛いでいる人物。
と言うか、なんでバスローブ姿なんだよ!
不愉快だなぁ!
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