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「沙夜は渡さない」
これは僕のエゴだ。分かっている、沙夜の気持ちなんてこれっぽっちも考えていない自分勝手な考えだ。
でも、譲れない。
邪魔をするなら、誰であろうと、僕は容赦しない。
「はっ、渡さない、か。どうするってんだ? “俺の敵”。戦うってのか? 俺と。“宵闇”と。俺は“俺の敵”、お前から“姫”を取り返すまで諦めない。必ず俺はお前を殺して、“姫を”奪う。“闇憑き”の連中もそれは同じだろう。そんな俺達を敵に回して、お前は戦い続けるのかよ? “姫”を守り続けられんのかよ!?」
戦うさ、何度だって。
僕は答えず、部屋を出る。
背後で、満月の嬉しそうな笑い声が響いていた。
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