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僕の母と同じくらいの年齢なのだろうか、僕の母同様にそんな年齢には見えないけれど。 と言うか、小さい時に会っていると言う事は、五十嵐のお父さんと同様に僕の両親とも面識があるのだろう。 意外に互いの両親は仲が良かったりするのだろうか? 五十嵐とは高校で知り合ったと思っていたのに。 「本当に大きくなったわね。でも、勘違いしないで。あなたの抱えている問題は更に大きいわ」 少しだけ悲しそうに、安岐さんは言う。 大丈夫です。と返すと、そう。と再び柔らかい微笑みで返してくれた。 「風雨、アレの引き渡しは明日で良いのね? 勘違いしないでよ、いつでもいけるわ。とっくに準備は出来ているんだから」 「あぁ、明日でいい。明日の昼過ぎ、場所は×××の廃ビル」 満月を引き渡す話をしているのだろう。 明日の昼過ぎ、場所は……え? ×××の廃ビル? それって―― 「え? 五十嵐――あそこなの?」 「あぁ、お前もよく知っている場所だろう」
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