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彼の能力は、念動力。物を触らずに動かす力。 それも序列一位なんて肩書を持つ人物だった。 これくらいの事は、平気らしい。 僕は当初の予定通りバスに乗り込み、目的地へ向かった。 道中、城島先輩はのべつまくなしに、喋り続けていた。 取るに足らない雑談、昨日の晩御飯の話やその時に見たテレビの話、五十嵐の依頼は生徒会長経由で聞いたとか、今回の騒動についてとか。 「それにしても、それにしてもだよ。殺人鬼ねぇ、このご時世にそんな輩がいたなんて、ぼくは露程も知らなかったよ。まぁ、ぼくらみたいな異能者がいるんだから、そんなファンタジーな人がいても……不思議な話だね。一体、そんな人達はどんな生活を送っているんだろう? 興味が尽きないね、全く」 「意外と、普通にその辺を歩いてたりするかも知れませんね」 「はは、それは面白いね。成程、そういう人達は実は何処にでも居るのかも知れないな。普通に見えるだけで。普通というものが何なのかと言う哲学的な話にもなりそうだ。そういう人達にとってはやはり自分達の存在とて、普通なのだろうからね」
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