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そんな、有って無い様な雑談を交わしていると、目的地付近に到着した。 乗り込んだ時と同じように、ふわりと城島先輩はバスから降りて、僕は普通に自分の足で降りた。 そこから、徒歩およそ五分で目的の廃ビルに到着する。 僕らがたまり場にしていた頃と、まるで変わらない姿で僕を迎えてくれた。相変わらず、いつ取り壊されてもおかしくない程のボロいビルだ。 なかなかに雰囲気がある。夜は近づきたくない場所。 流石の城島先輩も口数が減ってしまっていた、作り物みたいな笑顔は健在のようだけど。 僕の先導で、中に這入る。 入口を抜けると、少し広いフロアになっていて――そこには―― 「あ! ゆとりくんが来てくれた!」 嬉しそうな声をあげて―― 枝郷神楽が、僕の見た事無い笑顔で立っていた。
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