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「神楽」 僕が呼ぶと、神楽は頭の一房跳ねた髪の毛をぴょこぴょこと揺らしながら、駆け寄ってくる。 「何かな? 何かな? ゆとりくん!」 何がそんなに嬉しいのか分らないけれど、やたらとテンションが高い。 やはり、こういう知り合いは僕には居ない。 僕は傍まで駆けて来た神楽の頭を撫でた。 くしゃくしゃと。 さらさらのピンク髪が躍る。 「偉いぞ、神楽」 「えへへぇ、褒められた。ゆとりくんに褒められたよぉ」 嬉しそうに目を細めて、頭を撫でられる神楽だったけれど、正直キャラが今までと違い過ぎて対応に困る。 あ、いや、褒めてどうする僕。 「神楽、どうしてここに? この人達は――」 「聞いてよ! ゆとりくん! こいつら、ここが何処か分らないみたいで勝手に入ってきて! 訳分かんない事言うから黙ってもらったよ」 僕の質問より先に神楽が答える。答えには殆どなっていないけれど。
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