012

5/32
前へ
/300ページ
次へ
成程、神楽は事情を全く理解していない。 今回の件を全く知らないままにここに来て、そして“闇憑きの三人組”と鉢合わせた。 相手は殺人鬼、おそらく疼月か咬月が神楽を殺そうとして、仲裁に入った針月を神楽が攻撃して戦闘になり――今に至る。と。 当初の目的とかなり食い違うけれど、まぁ結果オーライだろう。 あとは―― 「あれ? なんでウソツキがここに居るの? ゆとりくん」 ん? 嘘吐き? ここには僕と神楽と城島先輩しか居ないけど。 神楽は表情を凍らせて、城島先輩を見てる。と言うか睨んでいる? 城島先輩はいつも通り、作り物みたいな笑顔を浮かべていて。 「え?……神楽?――っ?」 ぶーんぶーん、とマナーモードにしてあった僕のケータイが着信を知らせる。  ディスプレイに表示された名前は――『五十嵐』だ。 なんだろう? 何か伝え忘れた事でもあるのだろうか? 「五十嵐、えっと――」 状況を説明しようか悩んでいると、五十嵐の怒声が響いた。 『馬鹿かっ! あれほど一人で行くなって言ったろうが! 今どこに居る!』
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加