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混乱する頭で、五十嵐を問い質す。 だって、有り得ないじゃないか。確か、そう。城島先輩の事を教えてくれたのは、五十嵐だった筈だ。 「城島先輩だよ? 城島光厳先輩! 五十嵐が教えてくれたじゃないか。序列一位の“天掴み”の城島先輩」 『序列一位? 序列一位は生徒会長だろ? あの人より上なんて想像出来ないぞ』 ふざけている様には思えない。そもそも、五十嵐はそんな冗談を言うような奴じゃない。 五十嵐が城島先輩の事を覚えていない? いや、むしろ……そもそも知らないみたいな口振りだ。 僕は城島先輩を見る。しかし、彼はいつものようにうさん臭い笑顔を貼り付けたままで。 「お前、なんでここに居る?」 神楽がさっきまでとは全く違う、ひどく冷えた口調で問う。 城島先輩は、へらへらと口元を緩めたまま答えない。 「神楽、さっき城島先輩をなんて呼んだ?」 「ゆとりくん、こいつはウソツキだから。信用しちゃダメ」 城島先輩が嘘吐き? 一体どんな嘘を吐いているって言うんだ。
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