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「やれやれ、“時間切れ”か。全く、代償が大きい割に大した効力も無いなんて、使い勝手が悪いよね? そう思うでしょう? 枝郷ちゃん」 相変わらずの作り物みたいな笑顔を貼り付けたままに、城島先輩は言う。 「もしくは君にバレたから、か。“城島光厳”なんて存在を“創って”みたけれど、“本来のぼく”を認識する人が一人でも出来ちゃうと、効果が薄くなるみたいだね」 “つくった”? 本来のぼく? 一体この人は何を言っているんだろう? 「同じだよ、ゆとりくん」 神楽が僕の腕を引きながら言う。 「こいつも、こいつらと“同じ”」 こいつら、“闇憑きの三人組”を指して、城島先輩も同じだと言う。 「こういう時は、名乗るべきかな? 改めてね。城島光厳と言うのは仮の名、ぼくの名前は『宵闇 嘘月(よいやみ うそつき)』。“闇憑きの中で最も恐ろしい男”と呼ばれているよ。ここに来た理由は、ご察しの通り。そこに転がっている、あるいは刺さっている連中と同じだよ」 『宵闇 嘘月(よいやみ うそつき)』 “闇憑きの中で最も恐ろしい男” 城島先輩改め、嘘月はそう名乗った。 相変わらずの作り物みたいなうさん臭い笑顔で。
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