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「出来る、と言えるかい? 本当に? 君はタ○チという作品の有名な告白シーンは知っているだろう。世界中の誰よりもって奴さ。でも、続編を読んだ事は無いだろう? 人の気持ちの移ろい易さは残酷だ。しかし、別にぼくは君を責めたりはしない。だって、初恋が実り、永遠を誓い合う――なんて、フィクションでもそうそう無いし。今、君が意固地になって、「彼女を永遠に愛す」なんて夢見がちな事を言っても、その気持ちが今は永遠だったとしても、いずれ移ろうだろう」 いや、確かにタッ○の続編は知らないけど。 ちょっと気になる。どうなったのだろう、あの二人。 気持ちは移ろう。確かにそうかも知れない。 でも―― 「僕は、今の気持ちを永遠にしたいと思うし、そうなるように努力するつもりです」 「努力、ね。例えば、君と姫がうまくいって、結婚するとしよう」 け、結婚? あ、今そういう話か。 「彼女に家事のスキルは皆無だし、そして親類は殺人鬼の集団だよ? これはかなりのマイナス要素じゃないかい?」
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