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とても、そうは見えない。
車椅子と、作り物みたいな笑顔以外は至って“普通”にしか見えない。
普通と言うより、特徴が無いと言うべきか。
村人Bとか、背景キャラやモブキャラみたいな。
満月や他の闇憑き衆のような威圧感だったり、違和感だったり、異物感の様なものが無いし、沙夜のようなオーラも無い。
こんな場面で登場するような人物なら、必ず放つ“気”のようなものが無い。
そうだ、こいつからは“炎”が見えない。
「……? 負けると分かっている?」
「そうだよ、勝てる訳が無い。君の能力には」
満月だって勝てなかったんだから。と、へらへらと笑いながら言う。
嘘だ、と思う。少なくとも本心からの言葉では無い。そんな風に思わせるのに充分な分かり易い態度だった。
「だってそうだろう? 君の能力は『その身に降りかかるあらゆる事象の無力化』なんだろう? そんな相手に勝てる道理などないね。そうそう、“学校側”は君のEコードを『無積人(ノーレート)』と名付けたみたいだが、君は確か別の名で呼んでいるらしいね」
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