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「……今が“約束の時”だね。ゆとりくん」 炎が掻き消えて、僕の目の前には神楽が立っていた。 「……枝郷ちゃん? 君は今回の件に関して“部外者”でしょう? ここに居合わせたのだって偶然でしょう? それなのに首を突っ込むのかい? 君はもしかして自殺志願なのかい?」 神楽の行動が理解出来ない嘘月が捲くし立てる。 僕にだって分からない。 神楽はさっき、何て言った? ――今が“約束の時”―― 約束……約束ってなんだっけ? 事態に思考が追い付かない――そんな僕を無視して、神楽は僕の手を取る。 僕の前に跪いて、僕の手の甲を自らの額に当てて―― 神楽は契の言葉を宣誓(うた)う。
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