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「小石……ね。もう少し良い表現できないのかい? これでも一応ぼくは殺人鬼を謳っている訳なんだし、壁とかさ――」 「黙れ。殺人鬼? それがどうした? そんなのあたしには関係無い。お前はただの石ころだ」 「ふーん。良いんだね? ゆとり君、彼女から殺すけど」 そう言って、手のひらを前に向けて両手を出す嘘月。 さっきの炎。恐らく、“木製の流星群(シューティングジュピター)”に因るものだろうけれど、あの規模の炎は“手動(マニュアル)”じゃ利かない。“自動(オート)”じゃないと対処出来ない規模だった。 以前、満月と戦った時は殆ど“自動(オート)”で戦ったけれど、今回はその手は使えそうに無い。“自動(オート)”だと責任が何処に移るか僕には選べないから、こんな室内じゃ神楽に責任が移るかも知れない。 だけど、殺人鬼なんて物騒な存在の相手を神楽にさせる訳には―― なんて、僕が思考している間に、神楽は嘘月に向かって駆け出していた。
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