012

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降り注ぐ。神楽から溢れたモノが―― 落下していく。神楽だったモノが―― 僕はそれをただ眺めて―― そんな僕を嘘月は貼り付けたような笑顔で見ていた。 「酷い事をする。ゆとり君、君のせいだよ。彼女が死んだのは」 僕のせい――何の責任を取れない僕にそんな言葉は響かない。 「彼女にも確かに原因はあったけど、彼女の死の真因は君だよ。ゆとり君」 原因、真因、僕みたいな存在がそんなものになれる訳無いじゃないか。 僕のせいじゃない。僕は悪くない。僕は関係ない。 僕は―― 「何言ってるの、ゆとりくんのせいな訳ないじゃん」 空虚な廃ビルの室内に響いたのは、神楽の声だった。
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