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「ゆとりくんのせいじゃない。ゆとりくんは悪くない。ゆとりくんは関係――あるけど」 そう言って、頬を染める神楽。 嘘月の乗っている車椅子、その後ろに立って―― 「なっ!?――どうし――て――」 「『三ツ児の魂百まで(トリオザオール)』の最大分身数は“百人”だよ。最初に分身した時、三人じゃなくて“四人”になってた――それだけ」 部屋の床一面にばらまかれていた“神楽だったモノ(三人分)”はいつの間にか消えていた。 「四人目――だって? 君は一体何処から――」 「分身してすぐに“四人目のあたし”は“空間跳躍してしまう欠点”『時空を駆ける少女(ジャンピングガール)』と“背後を取ってしまう欠点”『後ろの少年(バックトゥザボーイ)』を同時に使った――そして、今ここに居る」 “空間跳躍してしまう欠点”『時空を駆ける少女(ジャンピングガール)』 “背後を取ってしまう欠点”『後ろの少年(バックトゥザボーイ)』 「き、君は一体、幾つの欠点を――」 「お前と違ってあたしは人間。だから、欠点くらい“幾らでも”持ってる」 欠陥品だからね。 神楽が悲しそうな笑顔を浮かべると、車椅子が砕け散り、嘘月が地面に叩き付けられていた。
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