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「ぐっ! はっ、はあっはあっ。く……はは、ひひひ」 地面に叩き付けられて、立ち上がる事も出来ない嘘月はこんな状況でも笑う。 へらへらと。 「終わりね。さてと、どうしようか? ゆとりくん」 「どうするも、無いよ。とりあえず、満月は引き取って貰わなくちゃ」 「――終わり? 何を言っているんだい? むしろ、“これから”だろう?」 「貴方こそ、何を言っているんですか? そんな立ち上がれもしない状態で、もう貴方に出来る事は――」 そこまで言って――思い出す。こいつのもう一つの能力、こいつの“罪”。あまりにも神楽が圧倒的だったから忘れていた。そんなのこいつの“罪”には関係ないのに。 “自分の存在を犠牲に自己の妄想を現実にする能力”『誇大妄想狂(ギガロマニアックス)』 どんな事だって出来てしまう――とんでもない能力がこいつにはまだ―― 「今のこの状況で、自分に都合の良い妄想なんて出来るの?」 冷ややかな目で、這い蹲る嘘月を神楽が見下す。
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