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“足が動かない”という事実を嘘にして立ち上がった。 “針月達がボロボロになった”という事実を嘘にして針月達の状態を戻した。 そんなトンデモを平然とやってのける。そこに痺れたり、憧れたりはしないけれど。 状況は再び振り出しに戻ってしまった。 しかし、僕のするべき事、僕に出来る事は変わらない。 “あと、もう少しだけ”。 大丈夫、だと信じるしか無い。しかし、随分と分の悪い賭けだった。 「さて――ゆとり君」 へらへらとした笑みを貼り付けたまま、嘘月は―― 「“話し合いをしようか”」 最初に言った言葉を、もう一度言った。
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