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一体いつの事で、どこで、だったのかは、思い出せないのだけど。
それでも、そのときにかつて空白だった彼女と話した内容は覚えている。
全くと言っていいほどに、内容なんて無かったけれど。
確か、そう。脈絡もなく、僕はこう切り出した。
「神様って居ると思うか?」
彼女は不思議そうに僕を見つめたけれど、何も言わなかった。元より、何か返答を期待していたわけでもなかった僕は続ける。
「俺様ちゃんは居ると思う。何故かと言うと、神様なんてのは結局のところ、妖怪やお化けみたいなもんなんだよ。存在する事が証明できないように、存在しないって事を証明できない以上は俺様ちゃんの中では“居る”って定義になる。俺様ちゃんは別に信心深い訳でもないけど、神道では八百万だっけか? どんなものにも神様は居るって解釈だろう? 要は、“そう思い込む事”“そう信じる事”ってのが重要なんだ。まぁ、もっともその神様が全知全能かどうかは知らないけど」
其処に居るだけで、何もしないなら、居ないのと同じだろうけど。と、僕は言ったように思う。
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