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「大丈夫です、ご心配をおかけしてすいません」
僕は天井に立っているオジカちゃんと呼ばれた人物を見上げて言った。
「今時珍しい礼儀正しい子やね」
「オジカちゃん、それはちょっとおばさんみたいよ?」
「ほんま? やだわぁ、ウチまだ17やのに……」
「それは、もう18才の私に対する皮肉かしら? オジカちゃん?」
「え? ちゃうでっ!? そういう意味やないから!」
独特、というよりはかなり変わった二人組だった。
出来れば、関わり合いになりたくない部類の。
それに思ったよりも時間がかかってしまっている。僕は早く帰りたい。
そして早く、沙夜とプリンを食べなくては。
そそくさと立ち去ろうと思ったけれど、天井に立っている人物が降りてきて。
「ウチは『小鹿山 実(おじかやま みのり)』ゆうねん。小さい鹿の山で小鹿山、果実の実でみのりや。よろしくどうぞ」
「私の名前は『志高 湖(しだか みずうみ)』です。志が高いに、琵琶湖の湖でみずうみです。よろしく。お互い初対面だし、こういう時は先に名乗るのが礼儀だって、本で読んだことがあるわ」
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