002

17/23

41人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
「ウチには分からへんわ。ウチにとって“これ”が当たり前やし、“これ”以外知らんねん」 どこか、悲しげに聞こえた。 「ゆとりくんもEランクなら分かるやろ? ウチらってE(エラー)を持っとぉけど、別に普通の人より“優れている”訳や無いゆうこと」 当時の僕はそうは思わなかった。けれど今の僕は――それを認めることが出来る。 「えぇ、僕らは代わりにどこか欠けている」 僕が責任を取れないように、沙夜が“悪”であるように、小鹿さんは重力法則を無視する。 そこに意味は無い。眼が良いとか、走るのが速いとか、その程度の意味しかない。 欠陥品。確か、かつて“空白”だった少女はそう形容した。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加