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「お前は、出来損ないだ」
帰り道、学校から自宅まで五分とかからない。
そんな道中、僕のやや後ろ、歩数で言うと三歩ほど後ろで、沙夜が思い出したように言った。
「出来損ない? 僕が?」
確かに、その通りではあるけれど。むしろ僕は“壊れたもの”だ。
「私が、よ。あの男、父親なのかしら? 少なくとも、戸籍上は父親ね……あの最低な最悪男にそう言われた事があったわ」
血液が沸騰するかと思った。
沙夜が出来損ないだと? 失言、戯言にしても聞き流せない。
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