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「あの男にとって、私は出来損ないなのよ」 「これは僕が言っていいのか分からないのだけれど……それは随分と、父親として終わってるね」 「そうね。親としても、人間としても、あの男は終わっているわ。そして、“宵闇”としてもね」 “宵闇” つい先日、現れた“自称”殺人鬼且つ、“自称”沙夜の許婚な『宵闇 満月(よいやみ まんげつ)』という、眼つきのやたら鋭い金髪の男から説明された事ではあるけれど、どうにも嘘っぽい。 彼曰く―― 『朝起きたら人を殺し、飯を食ったら人を殺し、暇なら人を殺し、忙しければ人を殺し、寝る前にも人を殺す。人でなしの“殺人鬼”。それが『宵闇』だろうが』 ――なのだそうだ。それに、こうも言っていた。 『後天的に『宵闇』に成った者を指して、“闇憑き”と呼ぶんだよ。“夜”を名乗れるのは生まれながらに『宵闇』だった者だけだ』
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