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それにしても、沙夜が自分の事を話すなんて珍しい。 あの男、戸籍上とは言え父親の事を、最低な最悪男と呼ぶ沙夜。 複雑そうなので深くは訊くつもりはない。話してくれるのなら喜んで訊くけれど。 沙夜の事なら、何でも知りたい僕だ。 「出来損ないって、今まで人を殺した事がないから?」 「どうなのかしら? 人を殺すのに理由を必要としたり、えり好みしたり、一種のこだわりみたいなものを持っていること自体が“宵闇”として、出来損ないと言ったのだと思うわ」 「確か、最初は“誰でも良かった”んでしょ?」 「あら、上げ足をとるのね。ゆとりのくせに」 「名前の発音が悪意に塗れている!」
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