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「……さん、……てくだ……い」 身体を揺さぶられている。 だんだんとゆっくりと、意識が覚醒に向かう。 視界が砂嵐のように、ぼやけていく。 「兄さん、起きてください」 寝惚けつつ目をうっすらと開いていくと、弟もしくは妹が僕を起こしに来たらしい。 らしい、なんて自分の兄弟に対してひどい表現だけれど。弟か、妹か、どちらかはっきりしない理由は、二人は驚くほど似ているから。 中学二年生、今年の誕生日をすでに迎えて14才の二人は、そろそろ区別がついてもいいと思うのだけれど、未だ二人はそっくりで。 それはそれは、鏡合わせのように同じ顔、同じ声。
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