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「――と言う訳で、おやすみ」 「何が『と言う訳』なのさ?」 布団代わりにしているタオルケットを剥ぎ取られた。 むぅ、融通の利かない弟だ。 「いつも思うんだけど、起こす時間が早いよ」 何の為に家から近い学校に進学したのか分からないじゃないか。 「そんな事は無いよ、兄さん。ほら、こう言うでしょう? 『早起きは三文の得』って」 「三文ぽっちじゃ得した気にならない」 「積み重ねが大事だよ? 兄さん」 ベッドの上でごろごろと駄々をこねてみる。 ふむ、不毛な会話だな。 でも、この弟との朝のやり取りって何だか落ち着くんだよね。
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