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仕方ないわね、と懐に真っ黒い短刀を仕舞う沙夜。 朝からアグレッシブ過ぎませんか? 沙夜さん。 せめて、シャープペンシルにしてもらいたい。 午前七時半。別に約束はしていないのだけれど、何となく暗黙の了解的なニュアンスで僕と沙夜はそろって学校に向かう。 学校までの五分もかからない僅かな道程、僕のやや後ろを沙夜がついてくる。 歩数で言うと、三歩ほど。 出来れば、並んで歩きたい僕は歩調を落として歩く。 蝉の声がうるさいと思える、朝から暑くなりそうな陽射しの強い朝だった。
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