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本当に、気が知れない。 一年以上も前に、この町を去った彼女が今さら。 今さら、何の用があると言うのか。 もしかして、僕に逢う為? なんて、そんな自意識過剰な事を考えていると――不意に熱気が迫る。 「やー、元気ー? ゆとりん! ふうちゃん! さよっち! おはよー!!」 いきなり、背中をバシバシ叩かれる。 “ゆとりん”と、僕をそう呼ぶのはこいつだけ、定着しないことを切に願う。えーと、こいつは何て呼ぼうかな。 んー、そうだ。 「よぉ、暴走バカ。朝から元気だな」 「ゆとりんも元気そうで何よりだねー! 何かいいことあったのかい? きゃはー!」 似てねーっ! どこぞの半可通のなんちゃってオーソリティの口癖を、ちょっと真似しようとして、思いの他似てなかったから途中で諦めやがった!
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