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ヒミコに対して僕が呆れて言葉を失ってしまった、ちょうどその時だった。 教室の扉が開けられ、担任教諭が這入ってきた。 後ろに、懐かしい顔を連れて。 教室がにわかに騒がしくなる。騒然と雑然としていく。 「静かにしろー。もう知っている奴もいるかも知れないが、このクラスに新しい仲間が増える。転校生だ。仲良くするように」 担任教諭がそう言って、自己紹介するように促した。 そして、彼女は名乗った。 「“俺様ちゃん”の名は『枝郷 神楽(えだごう かぐら)』。しかし、こちらは世を忍ぶ仮の名であって、真名は『空白の虚じちゅ』だ」 噛んだ。 『枝郷 神楽』は最初の自己紹介で見事に噛んだ。
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