005

4/27
前へ
/300ページ
次へ
*** さて、かつて空白だった少女。    『枝郷 神楽』 (えだごう かぐら) 彼女について僕が知っている事は、思ったより少ない。 最後に彼女に会ったのは、もう一年以上前になってしまっている。 だから、教室に現れた転校生が神楽だと気付くのに、少し時間がかかった。 いや、嘘だ。 彼女の外見は一年前と殆ど変わっていなかった。元より、そんなに変わるはずがないのだ。 彼女の身体的特徴は何と言っても髪だろう。 色はなんとピンクである。 更に頭頂部から生えた?(ぴょんっとはねた)触覚のような髪が一房あり、これは彼女の意志を現すかの如く動き回る。 次に眼だろう。 前髪が恐ろしく長いので、常に右目が隠れてしまっている。因みに僕は彼女の右目を見た事がない。 見えている左目の話だけれど眼は赤い、灼眼というやつだ。 本当に人間なのだろうか。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加