005

5/27
前へ
/300ページ
次へ
神楽の身長は高い方では無い。とは言え、頭の触覚の分も含めれば僕と同じくらいの身長になってしまう。 そんな彼女だけど、立っているだけで折れてしまうんじゃないかと思うくらいに、頼りないほど細い身体つきをしている。 その手には常に“スケッチブック”が持たれており、一年前まで彼女は『空白の虚実』は言葉を使う事が出来なかった為、これを用いて意思疎通を行った。彼女との会話は筆談でしか行えなかったのである。 かと言って、耳が不自由な訳ではなかったので、書くのは神楽だけだったけれど。 そして、一年前と違う点を僕は見つけて愕然とした。 それは―― 髪が伸びた? 違う。 身長が伸びた? 違う。 胸が大きくなった? 違う。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加