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黒い革製のそれには、錠前が付いており外せないようになっているみたい。
なんて、そんな風に彼女を観察していると、目が合った。
燃えるような、焼き尽くすような、その赤い瞳に射抜かれる。
神楽は破顔し(凄く嫌な感じの笑顔だ)こちらに歩み寄ってくる。
「久しぶりだな、我が半身“煉獄の劫火”。元気そうで何よりだよ」
と、のたまった。
「うん、久し振りだね。“神楽”こそ、元気そうで何よりだ。それと、僕はもう“煉獄の劫火”じゃない。ただの『ゆとり』だよ」
間違えないでね? と、僕は返した。
“あの時のまま”の神楽に、僕はやはり驚いたけれど、でも僕はもう“あの時のまま”では無い。
夢からは覚めたのだから。
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