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そんな僕の返しにもめげず。 「くっくっく……面白い冗談だな、“煉獄の劫火”よ。お前の眼には未だ世界を覆う炎が見えている筈だ。それこそがお前であり、それこそが“煉獄の劫火”なのだ。それと、お前こそ間違えるな! 俺様ちゃんは“空白の虚じちゅ”だ!」 再び、噛んだ。 懲りないやつだ。 “虚実”……喋れる様になってまだ一年そこらでは難しい発音らしい。 「こほんっ。それはそうと、“煉獄の劫火”よ。再び相見えた時に渡そうと思っていた物があるのだ」 受け取れ、と右手を差し出される。 何だろう? 別に何かあげた記憶なんてないのだけれど。 受け取ると、何か金属のような物だった。ちゃりん、と小気味良い音が鳴る。
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