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一体、何だというのだろう? この状況は。 第一、何故僕は正座しているのだろう? いや、自分の身体だから自らの意思でそうしているのでは? と、問われるとそれは違う。 僕の意志とは無関係に、僕の身体は正座という体勢を選んだのである。脊髄反射のレベルでチキン過ぎる。 そして何より、状況を把握する勇気を僕は持ち合わせていなかった。 すげー怖いし、二人とも。 だから、ただ俯いて二人の――沙夜と神楽の会話を聞いていた。 「お前は誰だ?」 最初に神楽の方から、沙夜にそう訊いた。 少し前までの沙夜なら、会話なんて成立しなかっただろうけれど、最近の沙夜は僕以外の人ともコミュニケーションをとるようになった。 少しずつではあるけれど。 相手の存在そのものを無視することは無くなった。
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