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それでも――
「あなたに教えてあげる義理も義務も無いわ。それよりも、私のゆとりを変な名前で呼ばないで頂戴」
「変な名前? 彼の真名すら知らないとは哀れだな、可哀そうな女だよ。お前は。それにしても“私のゆとり”か。ふむ、なるほどなるほど。大体把握したよ。それなら、俺様ちゃんはお前に礼を言わなければならないな」
「はん、あなたに哀れんでもらうほど私は落ちぶれてなどいないわ。それに何? 礼? 一体何の事を言っているのかしら?」
「今までありがとう。俺様ちゃんの“代わり”に“煉獄の劫火”の隣にいてくれて。でも、今日でその“役目”も終わりだ。“御苦労様”」
「随分と上からものを言うわね? 誰があなたごときの代わりなんてするの? ふざけないで頂戴」
「ふざけてなどいないさ。事じちゅ……じ、じ、つ、を述べたまでだ」
悪意の黒い炎と敵意の赤い炎が視界の端にチラチラと見える。
こわいよー。
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