宅配物

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      その日の晩、パーティを終えた仁さんと合流し、黒田の兄貴の店である『ジョーカー』に向かった俺達。 黒田はもちろんの事、いつもの『ミサ』の面子が勢揃いし仁さんとの対面を果たした。 仁さんの人柄の良さなのかキャラクターか、皆とはすぐに打ち解け昔からの仲間のようにグラスを酌み交わす。 そして俺はというと ほぼ全員に散々『ちょ』された(弄られた)俺は逃げられる訳もなく‥ 仕事を終え参戦した涼子さんは仁さんと当然のように意気投合し更にグレードアップした。 そしてその被害は俺だけには止まる訳もなく、マスターである匡樹さんにまで飛び火し、二人揃って明け方まで弄り倒された。 開放されたのは朝もやもすっかり消え、サラリーマンの出勤ラッシュが始まる頃。 「じゃ、また今日ね久我りん♪」 思わず「マジかよ!」と口を滑らすところを寸でのところで回避できた俺はやはり出来る男。 朝からテンションMAXの仁さん。昼からサイン会と言っていた彼女をホテルに強制送還し、ようやく呪縛から開放された。 「ハァ‥さすがというか相変わらずというか‥‥タフだよな」 雲ひとつない青く澄んだ空を仰ぎ、朝独特の空気を肺一杯に吸い込んだ俺は盛大な溜め息をつく。 久々に見た黄色い太陽はやはり破壊力があると、思わず自嘲的な笑いが込み上げる。 「今日も暑くなりそうだな」 .
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