探偵の器量

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  脳裏に焼き付けた女性店員の指の動き、長瀬に電話すると言う彼女の押す11桁の数字の順序をしっかり記憶した俺は、忘れないうちに自らの携帯に登録し、名刺の裏に書かれたそれとは違う11桁を押した。 自分の記憶力の良さを褒めてやりたい。 ‥といっても、11桁と長く聞こえるが、所詮携帯番号なんて最初の『0×0』以外はたった8桁の数字。 固定電話の番号は市外局番を除けば6~7桁、覚えるのになんの努力もいらない数字の羅列。 強いて言えば、どれだけの時間脳内に待機させておけるかが問題で、幸い長瀬の番号はゴロ合わせも簡単だった所為か、女性店員との会話でも消える事なく脳内に滞在させておけた。 携帯を肩と耳の間に挟み呼び出し音を聞きながら用無しになった名刺を再び丁重にポケットに戻す。 数回の呼び出し音が途切れ、呼び出した相手の声に思わず背筋が延びるのは条件反射。 「あ、もしもし、おはようございます。久我です。実は‥‥折り入って話がありまして」 .
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