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本当に夜だろうかと疑うくらいの明るさの中、赤い髪の少女――キアが到着する。
その明るさの正体は悪魔が放った火だった。
煙が辺りに充満しているせいか、そこにいる人々は苦しそうに身を屈めている。
まるで地獄。
だが、ここではこれが当たり前のように起きているのだ。焦っている暇などない。
消火活動に協力したいところだが、消火活動は水魔法を使う魔道師に任せる。逆に水魔法を使えないキアがいると邪魔だからだ。
「……大丈夫?」
長く、赤い髪を揺らしながら、火傷を負っている隊員に手を差し伸べる。キアと同じく悪魔対策組織の戦闘服を着ているため、悪魔対策組織の者なのだろう。キアのほうが若く見えるが、そこまで変わらない。
「……キア、さん。俺達は大丈夫、です。すぐ逃げれますから……」
キアの言葉を聞き、全く大丈夫そうではない笑みを浮かべる隊員。
「そんなんじゃダメでしょ! すぐ皆手当てするから……!」
大丈夫ではないと悟ったのか、キアが治癒魔法を使おうとした瞬間。
「そうはさせねえ」
前に人間の形をした“何か”が現れる。猛スピードでキアの方へ向かっていき、突き飛ばす。
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