制限だらけの旅。

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東京駅広しと言えども今の所梨菜本人しか知らない事だが、彼女は所謂異世界で生まれ育った少女である。 その異世界の名は鐵源郷(てつげんきょう)。 その鐵源郷が如何なる世界かと言うと、元居た世界での天寿を全うした鉄道車輌や鉄道の神様に認められた人々が暮らしている、早い話鉄道車輌の極楽浄土なのだ。 そんな世界で生まれ育った梨菜であるから、移動にわざわざ人間界の鉄道を使わなくとも… …という考え方もあってしかりであろう。 だが梨菜は如何なる理由からか、普段の移動方法を使わず人間界の鉄道にて、東京駅から西に向かおうとしている。 (ここで御父様やゼロくんに頼ったら、いつまで経っても会長みたいになれないわ) 心の中で梨菜。 ほんの一瞬とは言え梨菜は、今自分の目の前で頻りに頭を捻る若き駅員さんの存在を忘れてしまっていた。
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